ビジネス書 紹介

「財務を制するものは、企業を制す」財務改善で企業が立ち直るヒント

井原隆一著作「財務を制するものは、企業を制す」は、

昭和56年刊行の古い書籍ですが、

財務会計の改善で企業を立て直した著者の言動は、

令和の現代にも大いに気付きがありました。

銀行屋出身の井原が企業を救った方法とは?

彼の説く言葉とは?

「財務を制するものは、企業を制す」 データ

著書名:「財務を制するものは、企業を制す」

著者:井原隆一

文庫: 244ページ
出版社: PHP研究所

出版日:1986/06

井原隆一「財務を制するものは、企業を制す」とは?

井原 隆一著作「財務を制するものは、企業を制す」PHP文庫出版。昭和56年発売。

地味かもしれませんが、心臓ペースメーカー日本光電の財務改善をして現在にいたらしめた人の著作です。

日本光電は2020年3月期の売上が1,850億円、

医用電子機器のトップメーカで、東証一部上場の大企業です。

URLは下のとおりです。

日本光電株式会社

この日本光電が今のトップ企業の地位にあるのも、

井原隆一の力と言えましょう。

それではさっそく、中身の方を見ていきましょう。

「財務を制するものは、企業を制す」 あらすじ

井原隆一氏は、元埼玉銀行(現在のりそな銀行)出身であり、そこで融資先に転籍しました。

転籍先の企業、日本光電は、資金管理がルーズであり、モノは作っても「利益計画」が出来ていないので、不良在庫の山が積みあがるばかりであった。

そこで彼は、この企業に

・「資金は企業の命」である、

・不動在庫は絶対残してはいけない、

・在庫の”回転率”を高めなさい

と説きました。

そして「在庫が積みあがっても、売上が伴わないと、財務会計では売上高利益率がよく見えるだけであり、こういう財務会計などやめてしまいなさい」と主張する。

そして「お金のありがたみを知る企業になりなさい。

松下幸之助、西濃運輸田口氏の例を出して、お金のありがたみを知りなさい、と説く。
松下幸之助氏は、ある日部下に「キミすまないが、これらのモノを買ってくれないか」と、部下が「そのお金、あるのですか」と言い返すと、松下幸之助はいう「金があって頼むなら、社長が部下に頭を下げるか」と、反応の悪い部下を叱るのであった。

「財務を制するものは、企業を制す」で学べたこと

この本の特徴である「お金は、信用から生まれるものである」という考えは、インフレ時代には考えられないものです。

頭脳を働かせ、知恵を絞って、資金効率を高めなさい、安易な考えで「借入」の申し出に応じないこと、これは「半沢直樹」をみるまでもなく、当然の考え方だと思いました。

さて、現政権は個人の「貯金」をなんとか絞りだして、消費を上げるようにしていますが、ちょっとした「安易」な考えにながされてはいけない。

お金のありがたみを知る人間こそ、企業の、そして個人の「心のマインドコントロールが出来ている、最後まで残れる人間」だとも主張しているところで、ブームに流されて大切な貯金を消費に充てないことの大事さを学びました。

「財務を制するものは、企業を制す」で役立ったこと

この本は、他方でお金を生み出すためのアイデアを披露してくれています。

何度も読むことで著書井原のマインドが腹に落ちました。

「財務を制するものは、企業を制す」感想

PHP文庫出版の「財務を制するものは、企業を制す」は現在絶版です。

ですが、Amazonでは古本で490円ぐらいで、ヤフオクで@200円くらいで手に入ります。

またAmazonの電子書籍Kindleでも入手できます。

前にこの本を読んだことで、落ち込んでいた気持ちが前向きになったことがあります。
読者に勇気を与えることを主眼として記述していて、勇気は「資金コントロール」ができることから始まるという井原氏の主張には、多いに共感しました
悲観論の根底には、「お金がない」ことが多いのですが、それは「知恵」を出していないからだと。
楽観論になびくな、自己のマインドをコントロールしなさいという考え、安易に金融機関や貸金業者に融資の申し出をしてはならない、大変勉強になりました。

「財務を制するものは、企業を制す」イマイチなところ

「財務を制するものは、企業を制す」は昭和56年出版の本です。
そのためか、例示に多くの「漢文」を記載しているところがあるのですが、現代の若者にはちょっとわかりずらいところもあると思いました。
漢文には多くの含蓄あるニュアンスがあるのですが、ここが現代ウケしないのかな、とも思いました。

「財務を制するものは、企業を制す」 最後に

古い本ですが、半沢直樹の続編放送されることで、

銀行員が活躍するノンフィクションドラマとしても楽しめる本だと思います。

半沢直樹のような企業小説がお好きな方、企業で財務会計のお仕事方にぜひおすすめします。