ノンフィクション 紹介

「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」を読んで

子育てもののノンフィクション「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」を読んだので、今回は皆様にシェアしたいと思います。

イギリスの底辺中学に入った息子、という今までにない角度の子育ては、泣けるノンフィクションでした。

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー データ

書名:ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

著者:ブレイディみかこ

出版社:新潮社

価格:1485円

受賞歴:第73回 毎日出版文化賞 特別賞受賞

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー あらすじ

ブレイディみかこさんは、イギリスの音楽が好きでイギリスに住んでいましたが、そこでアイルランド人の配偶者と結婚されました。

配偶者はもともと銀行勤務でしたが、リーマンショックを機にトラック運転手に転職されました。

その間に産まれたのが本書の主人公の息子さんです。
息子さんはもともと小学校はカトリック系の品のいいところに通っていたので、中学校もカトリック系の学校に行くつもりでしたが、公立の元底辺中学校の学校見学の際に、そこで生徒にバンド活動などが盛んで、活気があったことからそちらへ入学します。
入学してみるとそこは低所得の白人系の移民のイギリス人が多いのですが、先に来た移民は後から来た貧しい移民を差別して、貧しい移民はアジア系やアラブ系、アフリカ系の移民を差別するという学校だったそうです。

教師などは差別はいけないと教えますが、何かと様々な差別意識が出てきたりし、また、生徒の間でもあからさまにそのようなことを言う生徒は周囲から孤立したりと、日本では想像もできない学校生活が描かれていました。

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルーからの学び

日本の学校では生徒はほぼ日本人のみで、人種差別と経済的格差が絡まると、どのような差別が起きるか、それに教師や親はどう対応するかなどは考えたことがない人が多いのではないでしょうか。

本書の中ではそのような複雑な差別や格差の中で著者の息子さんが暮らして、成長していくかが解りやすく書かれています。
主人公の息子さんも、イギリスではアジア人と見られ、たまに日本に来るとガイジンと呼ばれるので何かと大変そうでした。

ミックスルーツの子供のアイデンティティの確立の大変さがよく解りました。

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー を読んで、役立つこと

日本に住んでいても経済的な格差は表面的には解りずらいですが、人種差別や移民同士での差別などは想像すること自体難しいです。
本書を読むと、どのようなことが差別の理由になるのかが解りやすく書かれています。
こちらが誰かを知らずに差別したりしないように、気を付けるのに役立ちそうです。
また、イギリスの緊縮財政でいかに移民や低所得層が困難な状態に陥っているのかも日常生活の面から描かれていますので、これからの経済政策はどうあるべきかも考えさせられます。

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 感想

日本国内で学校に行き、暮らしていると人種や経済的格差でどのような差別が起きるのかはなかなか解りずらいですが、本書は中学生の日常生活からそれらの事が書かれていますので、とても新鮮で深い一冊でした。

日本国内に住むミックスルーツの方が、このような本を書くことを期待しています。

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー イマイチな点は?

日本と比べると、何かと周囲の人が様々な問題に関わるので、都市の中で暮らしていて周囲とのかかわりが薄い人にはいまいち解りにくいかもしれません。
また、昔から移民を受け入れているイギリスとは日本はかなり違うので、読んでいてこちらと比較しにくいことも多そうです。

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

外国の真の姿はテレビではわかりません。

観光旅行でわかることは、

観光地で目にする風景や食べ物、

お客さん扱いしてくれる人々との交流ぐらいでしょう。

また大人社会のことはわかっても、子供社会のことを知るすべはありませんでした。

しかしこの著書はリアルな子供社会の外国の人種差別について学べました。

今後、日本が移民を受け入れる時代に入るとこのような問題が浮かび上がるのだと思います。

この著書には著者なりの対応策が書かれ、実践しています。

興味をもった人にはぜひ手にとって欲しいと思います。